ボルハ・ペレス・ヴィティクルトール Borja Pérez Viticultor
ボデガス・ボルハ・ペレス・ヴィティクルトールは、葡萄栽培を営む家族の4代目にあたる32歳の若いテネリフェ人である創設者の名前を冠しています。アルティフィセは、単なる一ワインブランドではなく、ワイン造りの伝統とカナリア諸島の自然景観を長年に亘り、保全してきた農家とその犠牲的精神に対する敬意を表すことを目的としたボルハの思いを具現化したものです。
カナリア諸島にしっかりと根付いた葡萄品種の価値を高め切り拓くという目的、火山の自然、ミネラルの大地、貿易風、そしてこの上なく丁寧に葡萄を世話することが、これほどまでに特別なワインの特徴をかたちづくり、素晴らしいものにしてくれます。
アルティフィセは、ボルハが葡萄を購入していた小生産量の地元の小規模葡萄栽培家達の古樹を保全することに着想を得ています。
アルティフィセとはスペイン語で開発者、発明者を意味します。ボルハが、このブランドの開発者として心に思っているのは、多くのことを彼に教えてくれた彼の祖父です。ボルハは、祖父が亡くなる前に、アルティフィセのプロジェクトに参加させたいとの思い。祖父の手をエチケットに落とし込みました。また、ボルハはこうもいいます。“この地区の葡萄農家の人達がアルティフィセなんだ。だって、このワインを造る葡萄の40%は、僕がお願いした栽培方法をやってもらい、それを彼らから買っている。長年、うちの家族と一緒に働いてきた人ばかりです。残りの60%は、自分で世話をしています。”
“テネリフェ島でここ20年やってきたことは余り誇れることではないです”。EUの援助と“改良”品種ブーム真っ盛りの90年代をさしてボルハはこういいます。この時代、テネリフェ島の諸条件に適してない外来品種が、土壌の事前の調査もされないまま、広範囲に植樹されました。幸いにして、ここ数年土着品種を復活させる流がありますが、島には古樹が余り残っていないのが現実です。
きれいで、飲み易く、それでいて酸があり、樽のニュアンスが強すぎない、“難しくない” しかし、しっかりとしたワインを造ろうというのが彼の思いです。この作業のとても大事な入り口は、ビオディナミの経験を取り入れた持続可能な農業を実践して育てられる葡萄です。2017年に、ズッカルディ・ファミリーの収穫に参加し、知見を広げるべく、アルゼンチンのメンドサを訪問した際のことを、ボルハはこう説明します。“私はタリバンではないんで”。”葡萄がトリートメントを必要とするならば、私はそれをします。もしトラクターを使って草刈をしていいなら。わざわざ手でやる必要もないでしょ”。
ボルハ自身によると、彼のワイン造りは、繊細な畑仕事と、ボデガの中での介入を出来る限り少なくするということに立脚した方法論の実践であり、葡萄品種の特異性、DO.イコデン・ダウテ・イソラという葡萄が由来地域をより浮かび上がらせるものであるそうです。
“つまるところ、私は、この土地、ここの品種、そして島を代弁するようなワインを造りたいと思っています。極力、人の手の介入をせず、正直で、化粧しないワインを追いかけています。”