スペインが世界に誇るイベリコ豚


イベリコ豚の起源は、諸説ありますが紀元前3000年、当時イベリア半島に住んでいたケルト・イベリア人によってイベリコ豚の祖先が放牧されたことが始まりといわれています。
イベリコ豚は、ポルトガルに近いスペイン北西部の小高い山地一帯、世界で唯一のコナラとコルクガシの天然の生態系「ラ・デエサ」と呼ばれる自然の牧草地で群れをなして生活しています。海抜700m以上、年間降水量が500mm以下、地中海性気候の乾燥が激しい環境です。この厳しい環境に適応するため、イベリコ豚は自らの成長スピードを遅くし、子豚の出産数を制限することで耐え忍んできました。同じイノシシを祖先に持つとはいえ、成長が早く、繁殖力が強いという一般的な豚とは、まったく異なる特徴を持ちます。過酷な環境で生き、広大な「ラ・デエサ」を餌を求めて歩き回るため、鼻が細長く、四肢が細く長いなど、原種に近い生態を保っています。家畜として改良されることなく、この世界でも類を見ない生態こそがイベリコ豚の最大の特徴です。
イベリコ豚、特にイベリコ・デ・ベジョータ(ベジョータとはドングリの意)の飼育法の最大の特徴は、放牧にあります。
コナラとコルクガシが生い茂る「ラ・デエサ」では、秋になるとドングリがたわわに実ります。東京ドーム63万個分と言われる「ラ・デエサ」を餌を求めて歩き回ります。その運動量は相当なもので、その運動量を支えるのが好物であるドングリです。この運動量とドングリがイベリコ豚の美味しさの決定的な違いを生み出します。運動により赤身が強く乳酸率が高い筋肉をつくり、熟成することで脂肪との親和性が高まり、バランスの良い味わいとなります。
一方、ドングリには不飽和脂肪酸であるオレイン酸が多く含まれ、それを食べたイベリコ豚の脂肪にも必然的にオレイン酸の含有率も高くなります。オレイン酸はオリーブオイルの主要成分であることから、イベリコ豚は「足の生えたオリーブの木」と言われる所以です。オレイン酸には、善玉コレステロール(HDL)を増やし、逆に悪玉コレステロールの増加を防ぐという作用があります。特にイベリコ豚に含まれるオレイン酸は融点が低いため(人の体温と同じ37℃程度)、体内に脂肪が残りにくいと言われています。実際にイベリコ豚の脂を指で触っていると、体温で解け始めるのが分かります。
一般的にイベリコ・ベジョータはオレイン酸含有量は57~58%で、その年のどんぐりの出来により最低含有量を州政府が決めているそうです。